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コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

【コンサート】ノット/東響 ブーレーズ、ベルリオーズ、シューベルト@サントリーホール 2014/6/14(Sat)

<曲目>
ブーレーズ:ノタシオン Ⅰ-Ⅳ (管弦楽版)
ベルリオーズ:夏の夜 作品7
シューベルト交響曲 第8番 ハ長調 「ザ・グレイト」

<演奏>
指揮:ジョナサン・ノット
メゾ・ソプラノ:サーシャ・クック
東京交響楽団

 

ノット/東響の演奏会に行ってきました。
先週のラザレフとは別の、しみじみとした感動が伝わってくる素晴らしい演奏会でした。

ノットが現代音楽が得意としているのは世界的にも有名ですが、クラシックファンの中にも現代音楽への抵抗感が強い人が多いもの事実。
自分はこのブーレーズの「ノタシオン」は大好きですが、「ノタシオン」の文字を見ただけで行かないというのはあまりにも勿体無い。
というのも、ノットは現代音楽を如何に抵抗感なく聴衆に受け入れられ、そして古典との繋がりがあるか示すという「伝道師」としての使命感も負っているように感じるからです。

最初に現代音楽のブーレーズを持ってきて、同じフランス音楽であるベルリオーズの「夏の歌」を持ってくるセンスに脱帽。
この暑さを忘れさせてくれるような美声とオケの精緻な響き。
前半だけでうっとりでした。

後半は一見真逆といっていい「グレート」
シューベルトは前監督スダーンと手がけてきた東響得意のプログラム。
でも、ここでもノットの知性は光ります。
第1楽章を前半プログラムの続きを意識してか、ソフトタッチで終え、第2楽章のホルンが浮き上がるところで、ドイツ的な重厚な響きを随所に加えていきます。
でも、弦の繊細な響きは失わず、鳴らすところは鳴らしつつ、あくまでも「立派」に鳴らすことは避けたまま終演。
会場からもブラボー。

今回の演奏会の最大の特徴は、プログラム全体を一つの曲のように捉えて、その関連性を強く意識した演奏をしていたことだと思います。
たぶん「グレート」単体だけで演奏していたら、ドイツ的な目一杯鳴らす立派な演奏になっていたと思います(実際ノットが手兵バンベルク響と録音している演奏はそう)。

オケもそのノットの意図を汲み取り、信頼関係が増しているのが分かりました。

終演後、ノットにサインをお願いした時に

プラハの春の演奏会のマーラーの1番をラジオで聴いたんですが、壮絶な演奏でびっくりしました。あんなすごいリダルダント聴いたことないです。CDと全然違いました(笑)」

と話したところ、

「いやー、あの時は超エキサイトしちゃって」

と今日はいつになく興奮気味に話してました。
ノットは「クールだけど気さく」というイメージがあったんですが、今日ほどいい意味で人間臭い姿を見たのは初めてでした。

オケのみならず、ノット自身も深化していっているのが肌で感じられて嬉しかったです。

惜しむらくは、客席に空席が多かったこと。たぶん集客率は60%くらいだったと思います。
どんなにいい指揮者を呼んで、いい演奏をしても、それを共有出来る人が少ないのは悲しいし、勿体無いこと。
ノットの会心の笑みもあり、マネジメントの方にも安堵感が感じられましたが、今後の課題は如何にお客さんを呼ぶか。

ネットでもいい演奏だったとの感想が多いので、おそらく宣伝方法や値段設定に問題があるのかなと感じました。
マネジメントの方々にはプロモート方法の再考を含め頑張って頂きたいです。
個人的には東響の持ち味を生かしつつも、日フィルのような草の根的活動も必要なのかなと思いました。