コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

【コンサート】インキネン/日フィル ブリテン、ホルスト@サントリーホール 2016/04/22(Fri)

日本フィルハーモニー交響楽団
第679回東京定期演奏会

 

指揮:ピエタリ・インキネン
ヴァイオリン:庄司紗矢香
女声合唱:東京音楽大学

 

プログラム
ブリテン:ヴァイオリン協奏曲
ホルスト組曲《惑星》 

 

前半のヴァイオリン協奏曲は第一楽章こそ硬さがあり、もう少しボリュームが欲しいと思っていたものの、第二楽章から庄司紗矢香がノリノリで弾いていた。
楽譜を見ながらの演奏であったが、曲の雰囲気はベルクのヴァイオリン協奏曲を思わせながらも、あそこまで無調ではなく、メロディーが残っているあたりがこの曲のいいところ。


特にカデンツァから終楽章にかけて盛り上がっていき、最後は同じフレーズが何度も繰り返されながら終わっていく。ここにはシンフォニア・ダ・レクイエムにも
通じるような「祈り」が感じられるような気がする。

ちなみにアンコール曲は、スペイン内戦時の軍歌:アヴィレスへの道であったが、表現が凛としており、実に痺れたといえよう。


後半の「惑星」は、冒頭の拍手からほぼ間髪入れて開始される。火星では最強音がやや突き刺さるように聴こえ、弦がスポイルされる場面も。

今回の演奏会で特によかったのは、「金星」の美しい弦の響きと繊細さ、コンマスの千葉清加が全体をリードしながら甘美なソロを奏でていく。
「水星」では軽快さを維持しながらパーカッションが艶やかな音を奏でていく。
木星」は「惑星」の中でベストな演奏だったかもしれない。曲を手中に収めており、堂に入った表現だった。
特に有名な主題では、弦が全面に出て共感度たっぷりに弾いていく。普段クールなインキネンでも熱い演奏だったといえよう。
逆に土星は冒頭で金管が少し不安定になってしまったのが残念。それでも後半は持ち直していく。ここは明日は修正してくるであろう。
続く「天王星」でも、「木星」同様の見通しの良さ。フォルテシモの最後の音が見事に決まるのである。
冥王星」はP席のドアを開けて、ドアを閉めてからも歌われて、文字通り消えるように終わっていたのであった。感銘深い。

トロンボーンに久々の藤原さん、トランペットにはお馴染みのクリストーフォリさん、そしてホルンには都響首席の有馬さん(ソロ美しかった)、ティンパニの2番にはN響の石川さん(やっぱり巧い)と協力な布陣だったことを付け加えておく。

 

終演後、インキネンのアフタートーク。

庄司紗矢香とケルンで同門だったこと、指揮者として2度目の演奏会が庄司紗矢香との共演だったことや、9月のワーグナーの歌手について語ってくれた。
インキネンは本当にワーグナー好きなんだと伝わってきた。
そして、最後に熊本地震の募金箱を持っているので、皆さん寄付よろしくお願いします、と終わり。

 

終演後、インキネンと団員が募金箱持っていたので、わずかながら寄付してきたのであった。

今日はノット/東響を川崎で聴いてから、その足で自転車のレースで群馬へ行くのである。

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