コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

ヤンソンスのRCO音楽監督辞任と後継者について

ちょっと間が空いてしまいましたが、ヤンソンスRCO音楽監督辞任と今後について書きたいと思います。

このブログの趣旨からして、書かないわけにはいかないし、個人的に色々思っていることがあるので。

 

ヤンソンスの辞任は前からある程度噂もされてましたが、まさに #時ぞ来たりぬ といった感じでしょうか。

心臓に爆弾を抱えながら、アムステルダムバイエルンを往復し、さらにはベルリンやウィーンにも行ったりする。

そして中国に始まり、日本からシドニーに至るまでツアーをやって倒れた。

さすがに去年の11月のキャンセルの多さから、この様子だと公演を大幅に絞らないと厳しいだろうなと思っていました。

そして、今年のBRの公演も一部キャンセルし、ノットが代役。

3月にRCOブルックナーチクルスで久々に姿を見せてくれましたが、以前に比べてかなりやつれて見えます。

本人と話されたという方いわく、ヤンソンス自体は「元気になった」とのことでしたが、実際どうなんでしょうか。

RCOは特に明確な任期というのはなかったらしく、BRは2018年までが任期。

当面はBRに集中するということなのでしょう。

個人的にもかなり好きな指揮者で、彼の最大の長所は「オケの良さを引き出す」点にあると思います。同じ曲でも、オケやホールに合わせて振り方を大きく変える。

なかなかここまで出来る人はいないと思います。

細くてもいいので、少しでも長く活躍して欲しいと思います。

 

さて、ここで出てくるのはポスト・ヤンソンスについてです。

結論から言うと、個人的にはアンドリス・ネルソンス以外に適任者はいないのではないかと思います。

ベルリン・フィルはラトルが2018年で勇退することを早めに発表し、ドゥダメル、ネルソンス、ソヒエフなどの名前が上がっていますが、コンセルトヘボウではネルソンス以外の2人の名前はなく、出演回数は来シーズンは5回以上とダントツです。

 

ネルソンスは主演回数で群を抜いているだけでなく、師ヤンソンスからのプッシュもあるはずです。

ここからは個人的な憶測になりますが、今のところ後継は「未定」となっていますが、水面下ではヤンソンスの意向を受けてネルソンスサイドと既に接触しているではないかと思います。

もしくはヤンソンスの症状があまりにも芳しくなく、急に辞任となったのか。

 

後任ネルソンスで問題が出てくるとすれば、2つあると思っています。

1つはBSOとの兼任。若いとはいえ、ネルソンスもあまりタフではないため、大西洋を行き来するようなスケジュールに耐えられるか。

もう1つはレパートリーです。

RCOは伝統的にマーラーブルックナーを得意とする指揮者を好みます。ネルソンスは今のところどちらも得意とは言えません。ただ、来シーズンからマーラーの6番や5番も振っていくので、どこまで自分のものに出来るか楽しみです。

以前はブラームスにも硬さがありましたが、特に4番などは2009年と2013年のものでは出来が全然違います。ブラームスもすっかり得意なレパートリーになったように、マーラーも得意となってくれることを期待します。

 

ちなみにネルソンスでないとすれば、客演している中ではユロフスキやハーディングあたりもあるかもしれません。

あとはマーラーと現代音楽を得意とするノット。

 

ちなみに85歳の誕生日のインタビューで「もうコンセルトヘボウは振らない」と絶縁宣言をしたハイティンクは来シーズンの公演はなしです。

伝統を重んじてるように見えて、ヤンソンス人気におんぶにだっこなところが強く、アムス市民も「ヤンソンスは我々の誇り」というくらい、地元では人気があります。

そのヤンソンスの後任なわけですから、選択を誤ると、オケが崩れてしまう危険性をはらんでます。