東京交響楽団
東京オペラシティシリーズ 第91回
指揮:ジョナサン・ノット
神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団
リゲティ:アトモスフェール
パーセル:4声のファンタジア ト調 Z.742、二調 Z.739
リゲティ:ロンターノ
パーセル:4声のファンタジア へ調 Z.737、ホ調 Z.741
リゲティ:サンフランシスコ・ポリフォニー
R.シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」 作品30
久々のノットである。
前回が11月だったので、実に5ヶ月ぶりである。
個人的にリゲティは大好きな作曲家なので、どのように調理するか楽しみであった。
リゲティとバーセルという、400年くらい離れた作曲家を交互に並べるプログラムが一見すると不思議な感じがするが、高い結合性を持って聴き手に迫ってくる。
しかも、神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団を2階席の左上に配置し、彼女らの演奏になると、ステージを暗くし、スポットが当たるようにしていたのである。
この視聴覚的効果の高さも含め、このプログラムの凄さは実演でないと分からないといえよう。
リゲティと聞いただけで尻込みしてしまう人が多い中で、バーセルを組み合わせることで不思議と両者がかみ合って、抵抗感なく聴ける。
ノットのプログラミングセンスに脱帽である。
これだけでメインプログラムのように質量ともにたっぷりであったが、不思議と時間の長さは感じさせなかったのであった。
後半はR.シュトラウスのツァラトゥストラ。
ノットが得意にしている曲で、当然のように暗譜。以前、BBCプロムスでグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ相手に振っていた時の演奏がyoutubeに上がっているが、16型でテンポはその時よりも遅め、特に大胆にリダルダントをかけるあたりはノット自身が進化していることを感じさせる。
そして、何より東響のサウンドが変わった。まるでバンベルク響のように重心が低く、首席3人を揃えたホルンは朗々と鳴り、木管が艶やかに鳴り、黒光りするような響きであった。
もともと弦には定評がある東響であるが、小編成が得意で重心が高かった。
それでは今は大編成でも、大排気量でトルクにも余裕があるような高級車といえよう。
ますます楽しみである。