コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

【コンサート】ウルバンスキ/東響 プロコフィエフ、チャイコフスキー 2016/05/28(Sat) @サントリーホール

指揮:クシシュトフ・ウルバンスキ

ピアノ:アレクサンダー・ロマノフスキー


曲目
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第3番 ハ長調 作品26
チャイコフスキー交響曲 第4番 ヘ短調 作品36


さすがにコンサート疲れが生じたので、カラビッツ/読響についてはパスした。

何気にウルバンスキの実演を聴くのは初めて。
ウルバンスキはNDRの首席客演指揮者を勤めていて、ネットラジオでブラ1を聴いたことがあったのだが、角が立たずにアプローチが非常にソフト。
今回はそれを実演で体感した。

前半のプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番は、ロマノフスキーの優雅なタッチに酔いしれた。
ウルバンスキの伴奏もソフトで、この曲のキラキラした響きと実にマッチしていた。

後半はチャイコフスキー交響曲第4番。
スメタナのシャールカなどを得意としているので、もっと重厚な演奏を聴かせてくれるのかと思ったが、ここでも実にソフト。ティンパニトレモロなども角を立てずにソフト。
その分、スローなテンポで各パッセージを浮き立たせる解釈は今までにない新鮮さを覚えたが、それでも個人的にはもっとエッジが聴いた重厚な響きを好む。最後の最後でバスドラを強めに鳴らして盛り上げたが、あまり好きにはなれなかったといえよう。

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【コンサート】黒岩航紀 ピアノリサイタル 2016/05/23(Mon) @ヤマハ銀座コンサートサロン

5/23(月)は黒岩航紀さんのピアノリサイタルへ。

曲目
ブラームス:2つのラプソディー 作品79
ブラームスパガニーニの主題による変奏曲 作品35

逢坂裕:9つの演奏会用練習曲より第1番、第3番
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178

<アンコール>
リスト:ラ・カンパネラ
リスト:コンソレーション第3番
リスト:ハンガリー狂詩曲第6番

以前から個人的に楽しみにしていたコンサート。
18時前に仕事を終えて、18時20分に会場に到着。
コンサートホールは思ったより狭かったが、あまり行列は多くなかったので、ピアノの手の動きが分かる目の前に座った。

黒岩さんは上野耕平さんのリサイタルで伴奏をされてて、リサイタルに足を運んでみたのだが、イメージ通り、リストやスクリャービンが似合う鋼鉄な響きの中にもギラギラする輝きが素晴らしかった。
ブラームスもバラードなどではなく、後半に通じるようなギラギラした選曲。
あんなに目の前で、黒光りするようなピアノ聴いたら足がガクガクになるといえよう。

特に逢坂裕さんの世界初演曲もリストやスクリャービンカプースチンの要素に現代的な要素を取り入れた、本当に難易度の高い曲。
前日の演奏会もよかったけど、この日みたいな体験はなかなかできないであろうな。

実はこの次の日のコンサートも「なんとなく」行こうと思っていたのだが、5/16(月)からほぼ休みなしでコンサートが続いていて、体力的にきつかったのでパス。
友人曰く、その演奏会もよかったらしいが、特に後悔はしていない。

自分の場合は、もう一つの趣味である自転車も大切にしたいので、コンサートも量ではなく、質を大切にしたいと考えている。
終演後、作曲家の逢坂さん、ピアニストの黒岩さんと自分が思っていた率直な感想を伝えることができた。
この演奏会後、「人がいかにも集まりそうな演奏会」ではなく、好きな演奏家の演奏会をなるべく色んな曲で聴いてみたいと考えを改める契機になった。

今後も黒岩さんの演奏会には足を運びたい。
特にまだ聴いていないショパンスクリャービンカプースチンショスタコーヴィチあたりが聴けると個人的には嬉しいといえよう。

 

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【コンサート】クリスチャン・ヤルヴィ/都響 シベリウス、メンデルスゾーン、ラフマニノフ 2016/05/22(Sun) @サントリーホール

5/22(日)はクリスチャン・ヤルヴィ/都響のプロムナードコンサートへ。

指揮/クリスチャン・ヤルヴィ
ヴァイオリン/ヴィルデ・フラング

曲目
シベリウス:《カレリア》組曲 op.11
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
ラフマニノフ:交響的舞曲 op.45

 

普段自転車のロングライドやレースで土日のコンサートには極力行かない自分が土日ともコンサートに行くこと自体珍しい。

 


想像を遥かに超える名演で、片足を浮かせてステップしたり、腰でリズムを取りながら、表情に喜怒哀楽が出る指揮は、N響首席指揮者の兄、パーヴォ・ヤルヴィや、前日にN響を指揮した父のネーメ・ヤルヴィとはほぼ正反対のスタイル。
棒は分かりやすいながらも、さながらダンスのよう。
オケをドライブさせ、過剰にならないラインをキープしながら、弦から素晴らしいハーモニーを引き出していた。
ほぼ全てのセクションにおいて理想的な音が鳴っていたといえよう。

終演後、サックスで出演した上野さんも楽屋口でお会いしてから第一声で、クリステャン・ヤルヴィさん、ホントに凄いと言っていた。

サイン会では、ヤルヴィのMDRとのブラームス交響曲第1番のことを話したら、冒頭のメロディーからいきなり歌い出して、曲に関する解説を始めるほど、アドレナリンが出ていた模様。
でも、アーティストは、あの演奏会を聴いていたとか、そういう話を喜んでくれるんだなと再認識したといえよう。

演奏会の後は、一緒にコンサートに行った友達と食事。
久々にアルコールが入った。
翌日、体重計乗っても変わっていなかったのでホッとしたのである。

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【コンサート】ネーメ・ヤルヴィ/N響 カリンニコフ、ベートーヴェン 2016/05/21(Sat) @NHKホール

5/21(土)はパパ・ヤルヴィこと、ネーメ・ヤルヴィ/N響のコンサートであった。

大好きなカリンニコフの交響曲第1番とベートーヴェン交響曲第6番という組み合わせ。
カリンニコフはネーメにしては少しテンポが遅めだったけど、最終楽章は速めのテンポでパリッと。
ベートーヴェンはネーメのイメージを覆す、ゆったりしたテンポで細部まで神経が行き届いた演奏。これが円熟の境地か。

ただ、この演奏は非常に穏やかなので、好き嫌いが別れるかもしれないといえよう。

念願のマロさんこと、N響コンマスの篠崎さんとツーショット。
見た目はどう見てもヤバ目なんだけどw、とても物腰の柔らかい、素敵な方だったのである。

帰りはタワレコディスクユニオンで物色して、少しだけ購入。
メンゲルベルクオーパス蔵のリマスター盤など。
メンゲルベルクはもう新しい音源は発掘されることはないだろうけど、リマスターはちょくちょく出るのかな。

 

昨日も疲労感だいぶあったけど、金曜よりはマシか。

翌日は水曜に続いて、パパ・ヤルヴィの次男、クリステャン・ヤルヴィ/都響のコンサート。
コンサート三昧な日々は5/25,26を除いて6/1まで続く見込み、、、

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【コンサート】ラザレフ/日フィル チャイコフスキー、ショスタコーヴィチ 2016/05/20(Fri) @サントリーホール

ラザレフ/日フィルによる定期演奏会

チャイコフスキー組曲第1番
ショスタコーヴィチ交響曲第6番

チャイコフスキー組曲はなかなか演奏されないが、1曲目が少しアンサンブルが粗め。
これは5/8の芸劇と同じ。
それ以降はなかなか聴き応えがある演奏だった。

しかし、この日圧巻だったのは、後半のショスタコーヴィチの6番であった。
前半はそれに向けてアイドリングしていた感あり。

『軽やかで皮肉に満ち溢れて肩透かしを食らう曲』という既製のいい意味でぶち壊してくれた超名演。
この場に出会えたことに感謝したい。間違いなくこの曲のベスト演奏。

第1楽章から低弦はゴリゴリで、ヴァイオリンは繊細。内面から抉るような表現。
そして第2楽章以降はフルートなどの木管金管はギラギラ輝く。
第3楽章はPrestoでテンポを上げる指揮者が多い中で、ラザレフは一つ一つ噛みしめるようにインテンポを貫く。
これがまたカッコいい。
CD化が待ち遠しいといえよう。

ラザレフ自身が以前、アフタートークで6番と15番は本気でやると言っていたが、15番も期待せずにはいられない。

終演後はサイン会があった。

 

さすがにレッドブル4本キメて、ジテツーで日をまたいで帰った反動は大きく、翌日は朝に起きられず。
翌日はバパ・ヤルヴィでN響
久々の歌合戦ホールである。

それにしても自転車とコンサートの両立は難しい。
タフなフィジカルとメンタルが欲しいといえよう

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【コンサート】C.ヤルヴィ/都響 ペルト、ライヒ@サントリーホール 2016/05/18(Wed)

東京都交響楽団
第807回 定期演奏会Bシリーズ

指揮:クリスティアン・ヤルヴィ

 

ペルト :フラトレス~弦楽オーケストラとパーカッションのための(1977/91)
ペルト:交響曲第3番(1971)
ライヒ :デュエット~2つの独奏ヴァイオリンと弦楽オーケストラのための(1993)
ライヒ:フォー・セクションズ(1987)(日本初演

 

クリスティアン・ヤルヴィはMDRとのブラ1と、ベルリン・フィルとのチャイ4を聴いたことあるだけだが、特に前者はトスカニーニを思わせるようなストレートで剛直な演奏をするイメージが強かった。
そんなクリスティアンが、現代曲を都響とやろうものなら、悪かろうはずがない。

でも、「現代曲」と身構えていたが、いい意味で裏切られたといえよう。
しかも、クリスティアンがこんなにペルトとライヒを得意にしていて、CDもこんなに出しているとは知らなかった。

プログラムに記載があったが、ペルトもライヒも、この日演奏された曲は「前衛音楽からの脱却」がテーマ。
ペルトのフラトレスやライヒのデュエットは、語弊を恐れずにいえばヒーリング音楽に近い。

ペルトはヤルヴィ一家が揃って紹介していて、この年代にしてはかなり親しみやすいエストニアの作曲家。
クリスティアンが録音しているCDを買ってしまったといえよう。

このあとはプロムナード・コンサート。
かなりメジャーな曲が並ぶが、どんな風に聴かせてくれるか楽しみであるといえよう。

 

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【コンサート】B→C 荒川文吉オーボエリサイタル 2016/05/17(Tue) @オペラシティ、リサイタルホール

アーノルド:オーボエとピアノのためのソナチネ op.28(1951)
J.S.バッハソナタ 変ホ長調 BWV1031(原曲:フルートとチェンバロのためのソナタ
マドセン:オーボエとピアノのためのソナタop.22(1977)
デニゾフ:オーボエのためのソロ(1971)
ロヴレーリオ:ヴェルディの歌劇《仮面舞踏会》による幻想曲 op.44
北爪道夫:歌う葦 ─ オーボエとピアノのための(2013) 
ドラティ:ドゥオ・コンチェルタンテ(1984)

荒川文吉さんのオーボエリサイタル。
公演を知ったきっかけは、先月の上野さんのB→Cでチラシを見たことと、ピアノの黒岩さんが出演するから。

何気にオーボエのリサイタルは初である。
予定枚数が既に販売終了したので、当日朝に電話してチケットをゲットした。

確かなテクニックに裏付けされた明瞭な音で、デニゾフ以外は無調な曲はなかったので、親しみやすい選曲だったといえよう。
この日は友人も連れていったが、満足してもらえたようで何よりだった。

それにしても文ちゃんの相性で親しまれている荒川文吉さんの人気っぷりはすごい。
同門と思われる人たちに囲まれて、サインや写真を求められていた。

個人的にはなぜかほとんど演奏されることのない、マドセン、アンコールのプーランクがツボであった。

次回は8/26(金)に武満作品のソリストとして演奏されるそうで、指揮がなんとタン・ドゥンと三ツ橋敬子さん、トロンボーンにコンセルトヘボウ首席のファン・ライエン、、、
これは行くしかない。

 

 

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