第868回サントリー定期シリーズ
指揮:アンドレア・バッティストーニ
ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲
ラフマニノフ(レスピーギ編):5つの絵画的練習曲
ムソルグスキー(ラヴェル編):展覧会の絵
実は東フィルの演奏会は初。二期会のリゴレットでバッティストーニの凄さは知っているつもりだったけど、想像の遥か上を行く演奏だった。
「運命の力」、冒頭から朗々した輝かしい強奏で始まり、その後に弦がざわめくように旋律を奏でていく。そのサウンドの生々しさと美しさ、力強さといったら比類がない。
がっちり構築されているわけではないんだが、もう非の打ち所がないというか、音の一つ一つ、そして音の間に全てに意味があり、最初の1曲で足がすくんでしまった。
ラフマニノフの曲もメジャーではないけど、旋律の美しさを伝わる名演。
そして、極めつけは「展覧会の絵」。
テンポをややスローに落とし、スコアの隅々にまでスポットを充て、緻密ながらも音が澄んでいてキラキラしている。
この音楽ってここまで奥が深かったのかと思わせた。
曲と曲の繋がりの情景がてにとるように分かる。
そして、バーバ・ヤーガからキエフの大門まではテンポを一気に上げて突き進んだ。
今までの蓄積していたエネルギーを爆発させる。
会場からは爆発的な拍手!
一箇所だけ金管がワンテンポ早く出てしまってアンサンブルが崩壊しかけたところがあったが、そんなことを補って余りある演奏だった。
終演後、マエストロの出待ちをしていたが、5人くらいとあまりにも少ないので、もしかして上から出てしまったかなと思ったら、案の定そうだった。
ただ、東フィルの職員さんが気を遣って下さって、マエストロの食事するレストランまで案内してくれた。
申し訳ないと思いつつ、ご好意でサインと写真を頂けました。
それにしても東フィルの機能性とそれを引き出すバッティストーニの才能には驚きを隠せない。
あんな音がサントリーホールに鳴り響いたのは聴いたことがなかった。今年のベスト演奏候補。この後にあるノットのマーラー3番もそうなりそうな予感はするが。