指揮:ピエタリ・インキネン[首席客演指揮者]
テノール:西村 悟
バリトン:河野克典
【シベリウス生誕150周年】
シベリウス:歴史的情景第1番
シベリウス:組曲《ベルシャザールの饗宴》
インキネンと日フィルが紡ぎだす、音の透明感、しかもそれがひんやりとしているというよりは音の鼓動や奏者の息遣いが分かる素晴らしい名演だった。
特に「歴史的情景第1番」はフィンランディアに通ずる激しさがあり、「ベルシャザールの饗宴」は第2曲目からインキネンが指揮棒を置いて指揮をしたが、響きの美しさにうっとりした。
特にクールさだけでなく、叙情感に溢れているのが最高。
ラザレフの時の濃厚な時とはいい意味で対象的なオケだ。
この響きがそのままマーラーでも続いてくれればと思ったが、大地の歌、第1曲目は彼のマーラーの6番のようにクールに早めのテンポで響く。もっとホルンや低弦のうねりが欲しいと思ったし、テノールの声が消され気味。テノールの西村さんの発音が、、、声は素敵なんだけど。
第2楽章、急遽代役に立った河野さんは貫禄あり、ここでもオケにもう少し哀愁漂うとよいと思った。
第3楽章、第5楽章、西村さんについては同様。
第4楽章、速いテンポにさすがの河野さんも苦戦。
ただ、第6楽章だけはモノが違った。インキネンもオケも鳴ってる音にうねりが出てきて、胸にズシリと突き刺さる。そして河野さんの別れを惜しむような歌い方が素晴らしかった。
インキネン、この曲は初めてらしいので、それを考えればたいしたもの。ただ、以前のクールさや捌きの巧さに増して、表現の深みが出ていたのは感じた。
来年からが更に楽しみだ。