指揮=シルヴァン・カンブルラン
ピアノ=ニコライ・デミジェンコ
ソプラノ=ローラ・エイキン
曲目
シェーンベルク:弦楽のためのワルツ
リスト:ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調
マーラー:交響曲第4番 ト長調 「大いなる喜びへの賛歌」
まず全体の感想から言ってしまえば、カンブルランの凄さがようやく体感出来た演奏会でした。
上記のような豪華なメンバーを集めて、読響から信じられないほど色彩感豊かな音を出す、特に前半のリストからデミジェンコと奏でる響きのなんと優雅なこと。
都響の透明な空気を切り裂くようなザクザク感とは全然違う良さ。パレットの絵の具を鮮やかに使用した読響の柔らかくも色彩感溢れるサウンド。衝撃的でした。
アンコールはメトネルの「おとぎ話」でした。
休憩をはさんで、後半のマーラーの4番。
速めのテンポからサクサクと進めていくカンブルラン。第1楽章で木管が全体的に大きく崩れた部分がありましたが、尻上がりに調子を上げていき、第2楽章ではこの曲の持つダークな部分が顔を覗かせます。
第3楽章はカンブルランにしてはテンポを落として、音が更に繊細に。ここの繊細は上岡さんのようなギリギリの綱を渡る感じとは違いましたが、逆にあくまで自然体で、理性を失わないバランスと色彩感を重視したフランス的なアプローチでした。
fffの部分は若干音が粗くなった気はしますが、そこからアタッカで第四楽章に入っていく部分の色っぽさがたまらなかったですね。
ソプラノのローラ・エイキンもこの曲にはぴったりで、ノンヴィブラートで曲想にマッチしていたと思います。
カンブルランの指揮が一番ノリノリだったのがこの楽章でしょうか。
サイン会では、カンブルラン、エイキン、オスタータークがいて、実に和やかな雰囲気でした。
カンブルランのサイン会はいつも雰囲気がよいのですが、今回は特に急かされることもなく、サインたくさんもらってる方がいても特に止めに入ることもなく、エイキンはむしろファンの持ってきたジャケットのレアさに喜んでいて、笑いが絶えない、最初から最後まで素敵な演奏会でした。
個人的にはマーラーの4番というと、この曲の怪奇さやメルヘンな部分にスポットを当てたメンゲルベルクや上岡さんの演奏を好みますが、カンブルランの凄さを体感出来たことがとても大きいです。