コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

【コンサート】ギルバート/都響 武満、シベリウス、ワーグナー@サントリーホール 2016/01/26(Tue)

東京都交響楽団
第801回 定期演奏会Bシリーズ

指揮/アラン・ギルバート


曲目
武満 徹:トゥイル・バイ・トワイライト -モートン・フェルドマンの追憶に- (1988)
シベリウス交響詩《エン・サガ(伝説)》 op.9
ワーグナー(ギルバート編):指環の旅~楽劇『ニーベルングの指環』より

5年ぶりのアラン・ギルバート。
入魂の一撃だった、ブラームス交響曲第1番が懐かしい。

ニューヨーク・フィルとの来日公演は好きなブロンフマンと共演といえど、値段的に行く気になれなかった。

そんなギルバートだが、武満作品、シベリウスともに細部まで神経を張り巡らせ、ディテールに拘った演奏。
都響の特性を生かした名演であった。
ギルバート編のリング抜粋は「ラインの黄金」がなかったのが寂しかった。前半に比べると、少し物足りない気もしたが、都響にピット経験があれば、この曲の鳴らし方も変わってくるのではないかと思った次第である。

ニューヨーク・フィルを去ることが決まっているのだが、どこに行くのだろうか。
可能なら都響の音楽監督になってくれないだろうか。

次は夏にマーラーの5番を振るそうなので楽しみであるといえよう。

 

f:id:willemer:20160414133258j:plain

 

f:id:willemer:20160414133313j:plain

f:id:willemer:20160414133315j:plain

【コンサート】ファウスト、~バロックとバルトーク無伴奏の夕べ~@王子ホール 2016/01/19(Tue)

バロックバルトーク無伴奏の夕べ~

イザベル・ファウスト(ヴァイオリン)
テレマン:無伴奏ヴァイオリンのための12のファンタジー 第5番
    イ長調 TWV40:18
ヴェストホフ:無伴奏ヴァイオリンのための組曲 第6番 ニ長調
ビーバー:パッサカリア ト短調
ギユマン:無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン Op.18より
     第18番、第3番、第4番、第5番、第12番、第14番、第13番
ピゼンデル:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ イ短調
(休憩)
バルトーク無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117

ファウストの大ファンであることは以前書いたが、このチケットを手に入れるためにオークションで倍以上の値段支払ったのであった。
それだけに何が何でも行きたかったのである。

今回はピアニストの同行がなく、完全なソロ。しかも、バッハ以前も含むバロックバルトーク無伴奏ソナタという組み合わせ。
NHKの収録も入っていた。

室内楽の聴衆、特に王子ホールというのは明らかに他との雰囲気が違う。
王子ホールという立地、室内楽とオケでは面子が異なるのであろうか。
しかもお互いに挨拶している人が多いので、常連が多いように見受けられる。

さて、ファウストの演奏であるが、揺るぎない素晴らしいものであった。
温かみがありながら、無駄な情緒は排した研ぎ澄ました洗練された弦であったといえよう。

ちなみにファウストとの最初の出会いは、2012年5月、アバド/ベルリン・フィルとの演奏会であった。
その時のキャストがオッターとファウストで、前半のベルクのヴァイオリン協奏曲が終わったところで二人のサイン会があった。
自分がベルリンで手にしたディスクはバッハの無伴奏
バッハは苦手なはずがすっかり好きになってしまった。

素晴らしい演奏家は、その曲の魅力を伝え、好きにさせてくれる。
ファウストもまぎれもなくその一人であるといえよう。
サイン会の時に、短い間であったが、そのことを本人に伝えたら凄く喜んでくれたのであった。

 

f:id:willemer:20160414114652j:plain

f:id:willemer:20160414114646j:plain

f:id:willemer:20160414114757j:plain

f:id:willemer:20160414114650j:plain

【コンサート】坂入/ユヴェントス・フィル ドビュッシー、ブルックナー@すみだトリフォニー 2016/01/09(Sat)

 

 

 

 

 

 

 

 

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
ブルックナー交響曲第8番ハ短調(1890年改訂稿) WAB.108

指揮:坂入 健司郎
演奏:東京ユヴェントスフィルハーモニー管弦楽団

今年初めてのコンサートは坂入/ユヴェントス・フィルであった。
#坂入さんはいいぞ と聞いていて、実際youtubeで聴いた時のブルックナーの5番がよかったので期待大であった。

前半の「牧神」から瑞々しい、いい音。

そして後半のブルックナー
アマオケとは思えない、というか、このコンビでしか聴けない壮大なブルックナー金管が入りのところで落ちる箇所はあったけど、そんなことはもはや関係ない。
第1楽章の中間部の盛り上げ方、第3楽章の天国的なアダージョ、気力を振り絞っての第4楽章。
坂入さんが「意識が飛びそうになった時、聴衆の集中力から元気をもらった」というくらい、聴衆との一体感が素晴らしかった。
「お金を払ってきている」のではなく、「本当に聴きたい演奏だから」来ている人が集まるとこういう経験したことのないような雰囲気になるのだろう。

終演後、さすがに坂入さんはフラフラであったが、それでもエントランス、楽屋に来たファン一人一人に挨拶をされていた。
自分もお疲れなところ申し訳ないと思いつつ、サインとツーショットの写真を頂いた。
この後は朝まで打ち上げらしい。
平日はサラリーマン、休日はほぼオケの練習。どれだけタフなのだろう。

すっかり、坂入さん/ユヴェントス・フィルのファンになってしまった。
次の演奏会も絶対に来ると決めたのであった。

 

youtu.be

 

f:id:willemer:20160414111826j:plain

 

f:id:willemer:20160414111828j:plain

【コンサート】小泉/都響 メンデルスゾーン、R.シュトラウス@東京文化会館 2016/01/12(Tue)

東京都交響楽団
第800回 定期演奏会Aシリーズ

指揮/小泉和裕
ヴァイオリン/イザベル・ファウスト

曲目
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
R.シュトラウス家庭交響曲 op.53

今年第2弾のコンサートは小泉/都響であった。
自分が現役でもっとも好きなヴァイオリニスト、イザベル・ファウストが聴ければ十分と思っていたが、小泉さん/都響ともに誠実にサポートに回っている感があり、ファウストへの敬意と受け取ったのである。

アンコールは初耳、クルターク:ドロローズであった。

さて、後半の家庭交響曲
実はあまり小泉さんにいいイメージはなく、以前大植さんの代役で「悲愴」を振った時の印象が強く、カラヤンの(劣化)コピーという印象が強かったが、残念ながらそれを今回も痛感してしまったのである。
特に今回は800回目の演奏会、プログラムにカラヤンのアシスタントを勤めていた頃のエピソードが書かれており、「カラヤン直伝」という思いが一人歩きをしていたように感じた。
冒頭から金管が派手に外し、それ以降もオケのほうを見ようとはせず、ひたすら下を向きながら手を上下させていたのである。
インタビューの中で「カラヤンさんはR.シュトラウスからのアドバイスかは分かりませんが、最後にリダルダントをかけるんですよね。それには物凄い迫力がありました」と語っていたが、それまでコピーするとは思わなかったといえよう。

楽団員も冷めた顔をした人が多く(特に2ndVnトップの双紙さんの表情を個人的にはオケ側の満足度のバロメーターにしている)、団員からも少なからず不満の声が聞こえた。

サイン会はファウストが先に現れ、少なくとも自分がいた時間には小泉さんは現れなかったのであった。

小泉さん、ブルックナーは素晴らしいそうなので、その時だけは来てみようと思う。

 

 

f:id:willemer:20160414105224j:plain

 

f:id:willemer:20160414105248j:plain

 

f:id:willemer:20160414105317j:plain

【オペラ】 ヤナーチェク/イェヌーファ @新国立劇場 2016/03/02(Wed)

新国立劇場のイェヌーファを観てきた。

ヤナーチェクの代表作であるが、チェコ語上演で日本語字幕というのは実に貴重なので、観にいくことにした。

DVDで観たこともなく、マッケラスの演奏を聴いたことしかなかったが、これほど救われない、ドロドロした話も珍しいといえよう。
アカデミックプランで非常にいい席をゲットできたのであった。

オペラは海外ではよく観るが、日本では特に値段を前に尻込みしてしまうことが多い。しかし、アカデミックプランはお財布にも優しいのである。

さて、演奏であるが、ピットでの鳴らし方を知り尽くした東響のサウンドが素晴らしい。歌手をスポイルしないように、抑えるところと鳴らすところを完全に手中に収めており、チェコ出身のトマーシュ・ハヌスの見通しのよい指揮も見事であった。
ドラマティックに鳴らしながらも

、決してうるさくならないのである。都響にはできないといえよう。

歌手はコステルニチカ役のラーモアと、ラツァ役のハルトマンが2枚ほど抜けている感がした。
やはり外国人歌手が総じて1枚抜けている感があったが、それは仕方ないのかな、という気もする。

この曲の良さを初めて教えてもらった。新国立には定期的に通いたいと思っている。

f:id:willemer:20160302214649j:plain

f:id:willemer:20160302214616j:plain

f:id:willemer:20160302204149j:plain

【コンサート】広上/日フィル シューベルト、尾高惇忠、ベートーヴェン@サントリーホール 2016/03/04(Fri)

日本フィルハーモニー交響楽団
第678回東京定期演奏会

指揮:広上淳一
ピアノ:野田清隆

シューベルト交響曲第7番《未完成》
【日本フィル・シリーズ第41作】
尾高惇忠:ピアノ協奏曲(世界初演
ベートーヴェン交響曲第5番《運命》

イェヌーファから1日空いたこの日は日フィルの定期演奏会
プレトークにも何とか間に合い、尾高惇忠さんと広上さんのトークが聞かれた。
ちなみにリハーサルには、弟の尾高忠明さんも来ていたらしい。

あとからマエストロに聞いた話であるが、このピアノ協奏曲に集中するため、前後のプログラムはメジャーな曲を選ぶことにしたらしい。

未完成は広上節というべきか、重心が低くテンポを落としたっぷり歌わせる正攻法な演奏。
尾高惇忠さんのピアノ協奏曲は、圧倒的なエネルギーの噴射とそれに対比する静寂が、いい意味で現代音楽っぽくなく(メロディアスではないが、無調部分が多くなく聴きやすい)、テクニック的にも超難解な曲を弾ききった野田さんのピアノは見事としかいいようがないのである。

後半の「運命」は、広上さんの解釈は未完成同様、堂々としているのだが、最近の日フィル見られる「弦のかすれ」が見られ、広上さんがうなり声を上げてもオケは応えきれていない。
もともと金管に強みのあるオケではあるが、ラザレフの時はこんなんではないはずだ。

また、残念だったのは、隣の老人が終始話しこんでおり、ベートーヴェンの5番の冒頭が流れた瞬間に「運命だ!」と呟いたりと、自分の周りの席だけかもしれないが、リテラシーの低さが目立ったといえよう。
しかもいい席を取るとこれだから残念である。
きっと、「未完成」と「運命」だけを聴きにきたのであろう。

日橋さんが抜けて、今秋からインキネン体制になる日フィルが色々な意味で心配である。

 ちなみに詳細は伏せるが、ひょっとしたことから、ロードバイクの人脈と今回の演奏会が繋がったのが興味深かった。

そんな集いも今後あるかもしれない。

f:id:willemer:20160413153821j:plain

【コンサート】上野耕平 リサイタルin東京春祭@国立科学博物館 2016/03/18(Fri)

ベダール:ファンタジー
シューマンアダージョとアレグロ 変イ長調 op.70
逢󠄀坂 裕:アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ
デニソフ:アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ
シュルホフ:ホット・ソナタ
ガーシュウィン(長生 淳編):ラプソディ・イン・ブルー

 

最近行くのが恒例になりつつある、上野耕平さんのリサイタルに行ってきたのである。
3月はもう1つの趣味である、ロードバイクメインの生活になり、予定していたツヴァッゼログ/読響や上岡/新日フィルのコンサートには行けなかった。
コンサートは3/4(金)の広上/日フィル以来である。

上野さんのコンサートは2/9(火)の新大久保以来となる。

今回の演奏会はピアノの黒岩さんも前面に出てくる演奏で、このコンビは技巧的にも表現力も最高である。
個人的なツボは前半のクラシカルなプログラムの
ベダール:ファンタジー
逢󠄀坂 裕:アルトサクソフォンとピアノのためのソナタ

そして、後半のジャズプログラムの、ガーシュウィン(長生 淳編):ラプソディ・イン・ブルーであった。
特にラプソディ・イン・ブルーはアルト、ソプラノ、テノールの持ち替えである。
これには圧倒されっぱなしだったといえよう。

R.ヴィードフでサクソフォビアであった。

残念ながらぱんだウィンドオーケストラの日は自転車のレースがあって行けないのだが、次の演奏会、オペラシティにおける4/19(火)のB→Cは楽しみである。