コンセルトヘボウ主義

世界最高のオーケストラ、コンセルトヘボウのことを中心に、個人的に注目している演奏家や音源について書いていきます。

【コンサート】インキネン/日フィル ヴェルディ レクイエム@みなとみらい 2016/04/16(Sat)

日本フィルハーモニー管弦楽団
第316回横浜定期演奏会<春季>

 

指揮:ピエタリ・インキネン
ソプラノ:大隅智佳子
メゾソプラノ池田香織
テノール:錦織 健
バス:妻屋秀和
合唱:晋友会合唱団

 

この日はノットとのダブルヘッダーであり、昭和風ダッシュでみなとみらいに向かった。
電車が遅れるハプニングもあったが、無事に会場に到着したのであった。

 

インキネンの指揮はティーレマンにかなり似ているが、フォルテの時も大きなアクションはほとんど取らず、汗をかかない指揮者と言われている。
オペラ指揮者だけあって見通しがかなりよく、サウンドも(特にピアニシモが)クリア。繊細な音を出す。
一方、フォルテもしっかり鳴っており、テノールの声量にはやや不満があったが、独唱、合唱ともに総じてよく、特にバスの美声にはしびれた。

課題をあげるとすれば、フォルテの時に弦が負けて、金管が飛び出して聴こえることか。
金管でいけば、ホルンの日橋さんが抜け、トロンボーンの藤原さんも乗り番ではなく、クリストーフォリさんが孤軍奮闘であった。
全体では悪くないものの、各パートに顔となるリード役がいないことと、弦の底上げは必要であろう。
そこはヴァイオリニストでもある、インキネンのトレーナーとしての腕に期待したいといえよう。

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サイン会をやっていたので、タコ5のCDを買ってみたが、これはいいぞ。

 

 

【コンサート】ノット/東響 リゲティ、バーセル、R.シュトラウス@オペラシティ 2016/04/16(Sat)

東京交響楽団
東京オペラシティシリーズ 第91回
指揮:ジョナサン・ノット
神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団

 

リゲティ:アトモスフェール
パーセル:4声のファンタジア ト調 Z.742、二調 Z.739
リゲティ:ロンターノ
パーセル:4声のファンタジア へ調 Z.737、ホ調 Z.741
リゲティ:サンフランシスコ・ポリフォニー
R.シュトラウス交響詩ツァラトゥストラはかく語りき」 作品30

 

久々のノットである。
前回が11月だったので、実に5ヶ月ぶりである。

 

個人的にリゲティは大好きな作曲家なので、どのように調理するか楽しみであった。
リゲティとバーセルという、400年くらい離れた作曲家を交互に並べるプログラムが一見すると不思議な感じがするが、高い結合性を持って聴き手に迫ってくる。
しかも、神戸愉樹美ヴィオラ・ダ・ガンバ合奏団を2階席の左上に配置し、彼女らの演奏になると、ステージを暗くし、スポットが当たるようにしていたのである。
この視聴覚的効果の高さも含め、このプログラムの凄さは実演でないと分からないといえよう。

リゲティと聞いただけで尻込みしてしまう人が多い中で、バーセルを組み合わせることで不思議と両者がかみ合って、抵抗感なく聴ける。
ノットのプログラミングセンスに脱帽である。
これだけでメインプログラムのように質量ともにたっぷりであったが、不思議と時間の長さは感じさせなかったのであった。

 

後半はR.シュトラウスツァラトゥストラ
ノットが得意にしている曲で、当然のように暗譜。以前、BBCプロムスでグスタフ・マーラー・ユーゲント・オーケストラ相手に振っていた時の演奏がyoutubeに上がっているが、16型でテンポはその時よりも遅め、特に大胆にリダルダントをかけるあたりはノット自身が進化していることを感じさせる。
そして、何より東響のサウンドが変わった。まるでバンベルク響のように重心が低く、首席3人を揃えたホルンは朗々と鳴り、木管が艶やかに鳴り、黒光りするような響きであった。

もともと弦には定評がある東響であるが、小編成が得意で重心が高かった。

それでは今は大編成でも、大排気量でトルクにも余裕があるような高級車といえよう。
ますます楽しみである。

youtu.be

【コンサート】下野竜也/読響 池辺晋一郎、ベートーヴェン、フィンジ@サントリーホール 2016/04/14(Thu)

 

読売日本交響楽団
第557回定期演奏会

指揮=下野 竜也
テノール=ロビン・トリッチュラー
合唱=二期会合唱団
池辺晋一郎:多年生のプレリュード
ベートーヴェン交響曲第2番 ニ長調 作品36
フィンジ:霊魂不滅の啓示 作品29

 

久々の読響定期。

とある事情で、これから多く通うことができそう。今日はその初日。

今日は2階のRDで聴いた。

とてもよく響く。奏者の顔がよく見えないことだけが残念。

 

ベートーヴェン以外、超マニアックな選曲。

そのせいか、P席が合唱が乗るため開放されていないにも関わらず、空席が割とあった。

池辺晋一郎の「多年生のプレリュード」は2011年に読響から委嘱された作品で、その時の初演も下野さん。

ハルモニレーレの時もそうだったけど、下野さんは現代音楽の時は分かりやすい棒でキビキビと振る。

それでも決してうるさくならないのは、この曲を知り尽くしているだけでなく、正指揮者として長年オケとの関係があったからであろう。

ベートーヴェンティンパニこそ小型のバチを使っていたが、それ以外はモダンな奏法。

メリハリと弾力があり、読響の弦、そして金管もうるさくなるギリギリのところで鳴っていた。

 

でも、圧巻だったのは祈るような、名残惜しい何かを懐かしむようなフィンジであった。

現代の部類に入るフィンジであるが、様々な曲の影響を受けているだけあって聴きやすい。

曲と真摯に向き合い、確かなバトンテクニックで大迫力と、静寂ではトリッチュラーのリリックな声が哀愁を誘う。

こういう、光が当たっていない曲に光を当てるところこそ、シモーノの真骨頂だと再認識したのである。
会場の拍手とブラボーが凄かったといえよう。

またフィンジを聴いてみたくなった。

来週のベルクにも行きたかったが、別なコンサートとバッティングしてしまっているので断念。

 

余談だが、2階廊下で友人と立っている時に少し足が通路側に出ていただけなのに、「足をかけようした。左側を大けがしているのに、転んだらどうしてくれるんだ」という言いがかりをつけている老婆がいたが、割と有名な当たり屋らしいのでご注意を。

何か巻き込まれたら係員呼ぶというのが良さそうである。

 

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【コンサート】ジャニーヌ・ヤンセン リサイタル@東京文化会館 2016/02/22(Mon)

ジャニーヌ・ヤンセン リサイタル


曲目
ブラームスソナタ第2番 イ長調 op.100
バルトークソナタ第2番
ルトスワフスキ:スビト
ベートーヴェンソナタ第10番 ト長調 op.96

ジャニーヌ・ヤンセン(Vn)
イタマール・ゴラン(Pf)

都民劇場のプログラムのひとつ。
残り少なかったが、押さえることができた。

前回のN響ですっかり虜になってしまったヤンセン、今回も圧巻。
特に弱音への暖かみのある音はCDには収まりきらないといえよう。

アンコールはなんと3曲であった。
会場の盛り上がりも絶頂に。

この日は前職の最終出社日であった。
無事よい春休みを迎えられそうだと感じた。

 

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【コンサート】バッティストーニ/都響 二期会 トロヴァトーレ@東京文化会館 2016/02/18(Thu)

指揮/アンドレア・バッティストーニ
演出/ロレンツォ・マリアーニ
美術/ウィリアム・オルランディ
照明/クリスチャン・ピノー

舞台監督/佐藤公紀
公演監督/直野 資


レオノーラ/松井敦子
マンリーコ/城 宏憲
ルーナ伯爵/成田博之
アズチェーナ/中島郁子
フェルランド/清水那由太
イネス/杣友惠子
ルイス/大野光彦
老ジプシー/杉浦隆大
使者/前川健生

合唱/二期会合唱団
管弦楽/東京都交響楽団

自分としたことが、前半は気付いたら字幕見てても目がうつろで、気付いたら睡眠鑑賞していたのである。
何回踏ん張ろうとしてもダメ。

後半はコーヒーを飲んで復活。

トロヴァトーレとは愛と嫉妬の物語。
タイトルロールが急遽代役で、今回二期会デビューの城さんであったけど、美声で堂々した演技であったといえよう。

曲の盛り上げるツボを押さえたバッティストーニならではの演奏で、アンサンブルもさすが都響
ホントに前半はもったいないことをしたのである。

マエストロは楽屋口に現れず。
おそらくこの後にある、タワレコでのサイン会に備えて地下の秘密口から脱出した模様。

歌手2名とホルンの岸上さんからサインもらえただけであった。

ちなみに夜は渋谷のタワレコでバッティストーニのサイン会があり、東フィルの来期プログラムについて話してくれたのであった。

 

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【コンサート】P.ヤルヴィ/N響 シューマン、R.シュトラウス@サントリーホール 2016/02/17(Wed)

NHK交響楽団

第1831回 定期公演 Bプログラム

R.シュトラウス/変容
シューマン/ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
R.シュトラウス交響詩ツァラトゥストラはこう語った」 作品30


N響のB定期という、サントリーホールでの公演はいつも満席なのだが、水曜日だけカメラ席というものが開放される。
(開放されないこともある)。

この日は午後に休みが取れたので、カメラ席を狙っていったが、思いのほか仕事が延びてしまい、着いたのは16時過ぎ。
それでも既に10人少々人がいた。

当日券は15枚のみ。1人1枚のみとなっている。
自分は13-14番目で、なんとかセーフだと思っていたら、中国人がいきなりもう1人召還してきて、2枚購入して、目の前で売り切れ。

さすがにこれではアンフェアでしょう、と列の写真を見せたところ、かろうじてB席を1枚出してくれた。

あまり国籍で差別はしなくないし、自分は反中、反韓のようなのが嫌いなのでこういうことは言いたくないのだが、やっぱり中国人はマナーを守らないのだなと思った。
ちなみにドイツでも似たようなことがあるらしく、昼間から並んでも買えないため抗議デモが起こることがあると友人から聞いた。

2階の一番奥ではあるが、とても音響がよく、素晴らしい席を出してもらった。
ここの席、日フィルならA席だったと思う。

演奏会は期待に違わず、N響の芳醇な弦がより鮮明に聞こえた。

それに休憩中に友人と親しい職員の方にご挨拶をしたら、名前を名乗ってもいないのに第一声が「先ほどは申し訳ありませんでした」と謝られたのであった。
そして、友人の名前を出したら、楽しそうにお話をされていたのであった。
放送オケで半ば公務員であろうに、こういった人徳のある方がいらっしゃるオケなら、定期会員になると決めたのは一瞬であったといえよう。

(演奏の感想が少なくてごめんなさい)

 

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【コンサート】P.ヤルヴィ/N響 ブラームス、ニールセン@NHKホール 2016/02/12(Fri)

NHK交響楽団
第1830回 定期公演 Cプログラム

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77
ニールセン/交響曲 第5番 作品50


いつも演奏会で会って終演前も終演後も話す友人がいる。
その人に

#N響はいいぞ

と言われ、さらに日程が被ってしまうことから、チケットを譲ってもらえることに。
パーヴォ・ヤルヴィN響の演奏会に行くことにした。

久々の歌合戦ホール(NHKホール)である。

このホールは歌合戦などのイベントホールのため音がよくないのだが、3階のRという席をゲットできた。
ここの場所が実に素晴らしかった。
ステージからは遠いので、演奏者の顔はメガネ越しでも見えない。
しかし、音は最高にいいのである。

それにしても、#N響はいいぞ と友人が絶賛するだけあって、本当に凄かったN響
正直ここまで凄いとは思わなかった。

ヤンセンの演奏はCDやブルーレイなどで聴いているが、ここまで実演では彫りの深い演奏とは知らなかったし、実演でないと素晴らしさが分からないタイプ。
そして、何よりもパーヴォの棒にノリノリで反応するパーカッション、ギラギラした木管、伝統を引き継ぎながらも分厚く有機的な弦。
ベラボウに巧いんだけど、テクニックが前面に出ず、音楽を感じさせるところが最高である。

この日は皇太子殿下が来られたのでサイン会はなし。
それでも長い行列を作り、右往左往するN響の出待ちは他にはなくちょっと不気味さを感じた。

でも、パーヴォ/N響ヤンセンが素晴らしかったので、それぞれのコンサートに行くことを決意したのであった。

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