指揮:アレクサンドル・ラザレフ
ヴァイオリン:渡辺玲子
プログラム
モーツァルト:オペラ《フィガロの結婚》序曲 K.492
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番 イ長調 K.219《トルコ風》
ベルリオーズ:幻想交響曲
会場に着いた頃にはプレトークが始まっていた。
わずか短時間の間に5曲のヴァイオリン協奏曲を書いたモーツァルトの天才性、ベルリオーズの曲が滅多に演奏されない理由を話していた。
冒頭、拍手が消えるギリギリのタイミングでコンサートはスタート。
ラザレフのモーツァルトというのも大変珍しいものだが、軽快さは失わずに、キビキビとした「フィガロの結婚」を聴かせる。
音の密度は濃い。ティンパニは古楽器風のバチを使っていた。
続く、モーツァルトは冒頭こそ渡辺玲子さんのヴァイオリンが濃厚すぎると思ったが、ラザレフの完全にソリストを立てる演奏で徐々にうっとりするようなメロディを奏でていった。
いい演奏だったが、特にアンコールはなし。
しかし、なんといってもこの日に凄かったのは幻想交響曲。
これまたラザレフが取り上げるのは珍しいのだが、リハーサルを緻密にやったのがよく分かるくらい、芸劇の時の演奏とは別物であった。
冒頭の弦からして濃厚で緻密。一つ一つ噛みしめるように進めていく。
第2楽章はTpクリストーフォリさんの明るい音が映えるように、ソロを浮き立たせるような「計算」も光る。
しかし、遅めのインテンポで進め、決してテンポを大きく動かすようなことはしない。
それが逆に強烈な説得力を持つ。
第4,5楽章での圧倒的なエネルギー。でもアンサンブルは決して乱れない。
ラザレフの凄さを改めて思い知ったといえよう。
これまで聴いた幻想の中、実演では一番感動したのである。
この日は熊本地震の募金をやっていて、ラザレフ本人もエントランスに出てきていた。
土日は自転車のレースがあったので、久々にさいたままで行ったが、響きは文化会館に似ていて、個人的には好きだった。